栂海新道                        北アルプスの高峰から海抜0mの日本海へ 後編

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つかっちょ野遊び日記 | 栂海新道   北アルプスの高峰から海抜0mの日本海へ 前編

三日目 9月27日(火曜日)

3時起床。

昨日と同じオートミール味噌汁を食べ、トイレを済ませて水を補給。

5時出発。小屋も電気が点いている。

小屋泊まりの4人組(男1女3)もちょうど出るところだったので先に行かせる。少し小雨が降っていたのでレインを着用。

ガスが多めでヘッドランプの灯りが乱反射して道が見えづらい。それでもやがてガスが晴れてきて振り返る朝日小屋も周りの景色も見えやすくなった。

狭くて急な登りを終えると歩きやすい木道になる。

雨も上がり辺りも明るくなったが太陽は雲に隠れていた。

カライトソウ

朝日岳山頂に到着。

山頂には先行した4人も休んでいた。聞くとやはり同じ栂海新道を歩くようだ。元気な女性3人と冷静な男性1人という組み合わせだが仲良い雰囲気だ。

全体に靄がかかっており、日の出に輝く辺りの峰々が見られないのが残念。

先行した4人が「吹上げのコル」の昨日みた金属板の前で「日本海へ出発~!」とノリノリで向かっていった。いいなあ楽しそうで、いつも一人で歩いているけどそんな登山も楽しそうだなと思った。

いざ栂海新道へ

「吹上げのコル」の看板。

ここからいよいよ栂海新道が始まる。日本海を目指すのだ。

長栂山へは登り基調だが歩きやすい道。景色も良く少し紅葉している。

しかしガスっており冴えない景色、雨も降ったりやんだりの繰り返しでレインも脱げない。

池塘が点在する湿原地帯で晴れていれば綺麗な場所だろう。

を落とし羽毛状になったチングルマ

アヤメ平で4人組ともう一人昨日の男性がいた。

下り基調になり樹林帯に入る。湿原、草原状のところもあり花もまだ咲いている。晴れていればきれいなんだろうなあと思う。登り切って黒岩山につくと4人組がいた。4人いて、1人の僕とあまり変わりないペースということは皆健脚なグループなのだろう。

細かな起伏を繰り返しての尾根歩き。きついが言われるほどのことではない。

晴れていて花や紅葉の時期には素晴らしい景色だと思う道が続く。

オヤマリンドウ
イワイチョウ

黒岩平。 

文字通り平らでテント設営には絶好の場所に見える。禁止と書いてあるからきっと張っちゃう人がいたんだろうな。

まだ花の状態のチングルマ
シロヨメナ

黒岩山に到着。

上手く溶接(?)で字がくりぬかれている。木製の看板と違い風雨に強そうだ。

アカモノ
オヤマリンドウの群落

サワガニ山、面白い山名。この道を作った山岳会の名前が由来らしい。

また栂海新道一帯がそうだが金属に溶接で穴を空けたプレートも珍しい。

字体もユーモラスだ。

天気は雨が降ったりやんだり。本降りになることもあり雨具が脱げない。バックパックもずぶぬれ。防水対策に落ち度がないか心配だ。

道路が崩落しており、トラロープが張られており、新しい道が作られていた。

結構両側が切れ落ちているようだ。ガスが濃くて周りの景色が見えないがどうなっているんだろう。

北俣ノ水場に到着。4人組のうち1人がいて少し話をする。彼らは埼玉3人、東京1人からきたとのこと。

山荘手前最後の水場とのことでペットボトルなども総動員して4Lの水を汲む。

水場から小屋まですぐかと思ったら急な坂が続きキツイ。思ったより時間がかかる。

ヤセ尾根に出る。霧も少し晴れて高度感がある。

足を滑らせて滑落したら大事になってしまう場所だ。

尾根伝いの前方に4人組が見えた。やがて山頂についたらしい4人組のうち1人が「ヤッホー」と叫んだかと思ったら、「お兄さーん」と続けて叫んだ声がして、しかもこちらに向かって手を降っていたので僕に叫んでいるのだと気が付いた。他の3人も手を振っており、驚きながら手を振り返した。

良くわからないが何か甘酸っぱい気持ちになってしまった。ヤッホーと叫び返すべきだったのだろう。追いついてから「ヤッホーって聞こえました?」と問われた。男性からは「すみません、付き合っていただいて」とも言われた。どういう関係の4人組なんだろう。

こちらも山頂に到着。

この栂海新道を拓いた小野建さんの碑があった。

栂海山荘

栂海山荘に到着。やれやれきつかった。

本降りの中、とりあえず山荘内に駆け込む。

小屋で雨宿りをしつつテント設営のタイミングを図る。

山荘内はこんな感じ。2階もあり結構広い。

止んだかなと思ってもそのすぐ後にはまた降り出す。しかも本降りになるこもある。

今日一日こんな天候だったが夕方になっても変わらずなかなか良いタイミングが来ない。

降ったりやんだりをやり過ごすこと10回ぐらい。止んでいる時間が少し長いかなと感じたので様子を見計らって設営。しかしまたいつ雨がふるかもしれないので急いで設営。

しかし間に合わずインナーテントを設営中に降られる。濡れながらもフライシートをかぶせて何とか設営成功。テント内に潜り込む。その後も降ったりやんだりは続く。

小屋前に広場から茂みを挟んだところにトイレがある。見て驚いた。男女兼用、大小兼用ののようなのだが、形は滑り台式。用を足したものが下に滑り落ちていく仕組み。

今までに見たこともない強烈な印象のタイプだった。

夕食は鯖缶の炊き込みご飯、玉ねぎのソテー、マッシュポテト。

四日目 9月29日(水曜日)

3時頃出発。本降りの雨。真っ暗な中、ヘッドランプの灯りを頼りに歩きだす。

山荘からはまもなく急坂を下る。暗くてルートもわかりづらい上に道にも水が流れておりぬかるんでいて滑りやすくて恐い。

なんとか避難小屋に到着。辺りが明るくなってきた。小屋の中で男性が休んでいた。少し話をしたあと、先に行く。帰りの方法を話した方が良かったかもしれない。

急な下りが続く。しかも降り続く雨の影響で道はぬかるんでいる箇所も多く歩きづらい。

この急な下りを登ってくる人にあった。60歳以上でかなりの荷物(70~80l)だ。下りでもキツイくらいの激坂。とてもじゃないがこのコースを逆から行く気にはならないし、自分があの年の時に出来るかも自信がない。

標高を下げたことにより周りの樹々もますます背が高くなる。そして徐々に気温も上昇。

暑い。キツイ。

道路に出た。そろそろ下界が近い雰囲気?!

あとは下り一辺倒だと思っていたが、細かなアップダウンを繰り返す。

体力を奪われる。

再度、道路に出るがまた山道に入る。なかなか楽をさせてくれない(疲)

暑さと疲労で休む頻度が増える。

ときおり視界が開けた場所に出ると海が見えてゴールが近づいているのがわかる。しかしすぐそこに見える海まで遠く時間がかかる。

また道路に出た。目の前には親不知観光ホテル。やっと親不知に到着だ。

栂海新道登山口の標柱の前で万歳ポーズ。

栂海新道起点の看板がある道路を渡り公衆トイレで溜まっていたものを出す。スッキリ。

親不知観光ホテルの右手から階段を下り、いよいよ日本海に向かう。

左手には親不知トンネル。この先には何があるんだろう。気になる。

そして海へ。長い階段を下る。

日本海へ

日本海に到着。

やはり日本海。太平洋とはまた違う雰囲気。砂も黒く、拳大の大きさの石で敷きつめられており裸足で歩いたら痛い。

荷物を置き海に入る。感慨にふける。

記念にパシャリ。

景色をみたり写真をとったりしているとソロ男性が到着した。

撮影を頼まれた。彼は栂海新道のTシャツに着替えて海でポーズ。この為にTシャツを用意していたんだ。

降りてきた階段を戻り、真っ暗な親不知トンネルを歩く。意外と長くて途中でヘッドランプをつける。トンネルを出て更に上に戻る途中の展望台付近に像を発見。

「誰?」と思ったらウォルターウエストン! 日本アルプスの名付け親にして日本近代登山の父。

思わぬ出会いに感動。興味の赴くままぶらぶらしてみて良かった。

親不知観光ホテルに戻ると先ほどの男性はすでに戻っていた。

タクシーを予約してあるとの事で便乗させてもらうことにした。タクシーで温泉に向かい運賃¥1700のうち¥700支払い風呂へ。

山の話などをする。千葉の四街道市から来た男性は、妻は山の道具は一切片付けしてくれないから、これから帰って自分でやらなければならないから結構大変なんだよ。と言っていた。

あと数ヶ月で定年だと少し淋しそうだった。

風呂を出て駅まで歩く。ホームで電車を待っていたら、自販機のコーラを買ってくれた。お礼を言って飲む。コーラの冷たさが火照った体に、甘さが疲れに、男性の優しさが身に沁みる。

彼は新幹線なので糸魚川に向かうが、僕は海岸でテントを張ろうと思ったので目星を付けた海岸のそばの駅で下りる。お礼を言って別れる。名前も聞かなかったけど良い人だった。

さあこれからどうしよう。まず海に一番近いと思われる青海駅で下車。

海に向かって歩く。広い海岸に出たので、人目につかないところを探して歩く。

暗くなりかけでようやく場所を決めて設営。

設営、セッティングしてから歩いて近くのセブンイレブンへ。食べたいもの飲みたいものを買う。夜は1人宴会。

翌朝、撤収して駅へ。途中の和菓子店で「栂海新道」という名のお菓子をひとつ買って電車に乗り込む。大糸線で松本駅まで行き、高速バスで新宿経由で帰宅。

念願だった栂海新道。

朝日岳まで花と水に恵まれた気持ちの良い尾根歩き。栂海新道に入ってからは湿原や池塘、木道歩き、そしてヤセ尾根歩き、そして日本海までの樹林帯歩きと変化に富んだ登山道。そして海にゴールするというエンディングはなかなかエモーショナルなルートだった。

登る季節だが、真夏だと朝日岳付近は快適でも下山中は暑さとの闘いになるので、今回のように9月末か雪が降る前くらいまでが良さそうだ。

今回はあまり天気に恵まれなかったので、もう少し良い天気の時に再度挑戦して、更に最後は親不知観光ホテルに泊まって海鮮尽くしと行きたい!

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