長野~白馬~安曇野キャンプツーリング              北アルプスの絶景を求めて

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今から約30年前、まだ20代の頃に自転車キャンプツーリングに憧れていた時期があった。

当時は「サイクルフィールド」という自転車ツーリングに力をいれていた隔月刊の雑誌があり、発売日を心待ちにして、購入すると食い入るように読んでいつかキャンプツーリングに行きたいという夢を膨らませていた。

そして記事の中でツーリングコースを紹介するコーナーがあり、そこに写っていた景色に強く憧れを抱いたのだ。

しかし30年経過して場所の名前もその時の憧れもすっかりどこかに置いてきてしまっていたのだが、自転車雑誌のコース紹介でその場所の写真を見た時に記憶がよみがえった。

その場所は白馬村の嶺方峠。そこから見える北アルプスの絶景。

そうだ僕はここに行きたかったんだ。

そして初夏の高山の雪が残っているこの時期がベストシーズンだ。

果たして30年前に憧れた景色に出逢えるのか!?

2025年5月19日 一日目

4時起床。割とスッキリとした目覚め、寒くもなくちょうどよい。支度して5時前には出発。ひたち野うしくに送ってもらう。

旅の始まりはいつもの駅のホーム

輪行袋をホームの柱に預けて始発電車を待つ。

何度も経験していることだが、これから始まる旅に期待と不安。。。

5:31発品川行きの車内、席は全て埋まっているが輪行袋を抱えていても連結部分の方にいればあまり他人の迷惑にならずに済みそうだ。

6:27上野駅下車。そこから新幹線で長野行きあさま601号6:58発に乗り込む。

自転車の確保場所が気になる。

車両の最前後座席を狙ったがふさがっていた。大荷物スペースがあるが自転車は置きづらい。

しかしその脇のスペースに座席の人に声をかけて置くことが出来た。

天気は快晴。朝食のサンドイッチを食べながら車窓の景色を楽しむ。

軽井沢通過~ 浅間山も良く見える。

8:30頃長野駅に到着。

善光寺口に出ると駅前広場にベンチを見つけた。

重い輪行袋をベンチに立て掛けてほっと一息。輪行袋の紐をゆるめて自転車を解放し、一緒に入れていたパニアバッグやヘルメットなどを取り出す。

ベルトでフレームに固定していたホイールを取り外し、取り付けしやすいようにフレームを倒す。

フロントキャリアも取り付け、フロントパニアバッグを引っかけ、ショルダーバッグをハンドルにセットしたらようやく出発準備が整った。

ふぅ。一仕事終わった。

ベンチで行動食と飲み物で一息入れる。

よし! 9時半に出発。まずは善光寺方面に向かう。

ウェアはパタTにノース半袖シャツ、首元に手ぬぐい。ノースパンツ。

ほぼ快晴。それにしても暑い。

善光寺への参道を走る。観光客の姿はあまり見られない。

善光寺手前を左に曲がり国道406号に入る。

406号は2車線の道幅の広い道から、小学校を右折して1車線の狭い道に変わる。

更に少し進むと登り基調の道になりいつの間にか住宅街の様相になった。

しまった!コンビニに寄りそびれた~ と思ったが住宅街にて発見。行動食と昼食に備えておにぎりを購入。

この様子だとこの先にコンビニはないだろう。(実際に白馬まで見当たらなかった)

道路標識に白馬の文字が出ていて安心。

トンネル手前左折して76号に入り北上すると戸隠神社で有名な戸隠。

昨年歩いた「あまとみトレイル」と若干並走している場所を今度は自転車で旅している。

それにしても暑い。特に下半身は短パンで走りたいくらいだが仕方がないのでパンツを膝下まで吊り上げる。

山間地に入った為、ここからトンネルが増えてくる。

交通量も少なく走りやすい道が続く。今度はスノーシャッド登場。

緩やかな登りが続く。

道幅も狭くなって斜度もきつくなってきたのでバス停のある日陰で休憩。

バス停を見るとこの辺りは小鍋という地域のようだ。

裾花ダムにかかる裾花大橋を渡る。

それにしてもトンネルやスノーシャッドが多い。特にトンネルは狭くて暗くて緊張する。

後ろから追突されないかヒヤヒヤだ。

気温は相変わらず高いがトンネル内はヒンヤリ、一気に汗が引きシャツを着ていてちょうどいい。

再びダム湖を渡る。

景色が山あいの道から静かな住宅街に変わった。

鬼無里(きなさ)地区

おっ ここが鬼無里(きなさ)地区か。

平成の大合併前は「鬼無里村」といって「鬼がいなくなった里」という意味を持ったこの村。

名前の由来がとても気になるこの村には「鬼女紅葉伝説」というのがあるそうです。

 平安時代、ゆえあって京の都から流刑にあった紅葉という女性が、都の文化を伝える一方で、人々の心を乱し、他村を荒らし、いつしか鬼女と呼ばれるようになりました。やがて朝廷の命で平維茂(たいらのこれもち)が紅葉を討伐したので、以来、この地は鬼の無い里「鬼無里(きなさ)」と呼ばれるようになりました。    長野市鬼無里観光振興会より

「松巌寺」

平維茂によって紅葉が討たれた後に紅葉の拝んでいた地蔵菩薩像を祀ったのが、この寺の前身である 鬼立山地蔵院とされる。

道の駅 鬼無里

ふぅぅ。道の駅鬼無里に到着。ここまでほぼ登りの連続でかなり疲れた。

長野市街のコンビニを最後に飲食店や食料品の店が何もなかったので、地元ならでは惣菜や軽食でもと期待して入ったが、観光地のお土産物みたいな物しかなかったのは残念。

道の駅の左隣には別の建物があり、蕎麦屋があった。地元の人らしき人々で半分ほどの座席が埋まっている。

鰹出汁のいい香りが食欲をそそる。喉も乾いたし腹ペコだ、よし入ってみよう。

戸隠産のそば粉を使った十割蕎麦850円を注文。

道の駅併設の店にしては味は悪くない。そば粉十割にしてはあまり香りがないかな。

漬け物にはたくあんのごま油和えがついていた。

喉が渇いていたのでそば茶がありがたい。お腹と気持ちが満たされた。

ごちそうさまでした。

店を出る時に外国人男女が入ってきた。

おっ! 駐輪場には荷物満載の自転車。きっと先ほどの外国人のだろう。

荷物の量から長期ツーリング中みたいだ。彼らは日本を回っているのかな。

これから白馬に向かうのだろうか。

そんなことを考えてもし遭遇したら何を話そうと脳内でシミュレーションを繰り返すも意外と話せないことに気がつく。残念。

道の駅を出てしばらく登る。

田畑や川が流れる田園地帯になった。

車もあまり通らなくなり走りやすい。

鬼無里を出て白馬村に入る。そして今回の旅の一番の目的である白沢洞門の看板が出てきた。

嶺方峠に到着

いよいよ到着した白沢洞門。その出口にある嶺方峠に向かう。

北アルプスの絶景は見られるのか?

むむむ。。。雲が多い。

雑誌で見た景色には程遠いが、それでもうっすらと雪をまとった北アルプスが見えて素晴らしい景色には変わりない。

少し逆光気味ということと、雲がなければ良かったが・・・

もう少し雲が晴れてくれないかな。

雲が晴れるのを待っている間にもバイクや車、自転車などがひっきりなしにに訪れてきていた。

一般的にも有名な場所なんだなあ。

しばらく眺めたが雲が切れる様子は全くなかったので諦めて出発。

峠を越えたご褒美は爽快な下り。

ここまでの登った分、急な下り、カーブが続く。

最初は気持ち良かったが急すぎて恐くてブレーキを握りっぱなし。

ブレーキを握る手が痛くなってきたなぁと思ってきた頃、道がフラットになった。

白馬村の住宅街に入ったようだ。

薪ストーブ用と思われる煙突が突き出たロッジ風の家や、山に向かってデッキがある家など、お洒落な雰囲気の建物が多くなる。景色もいいだろうな。また建設中の高級そうな建物も目立った。

インバウンドによってここ白馬の地価が高騰しているという記事を目にしたが、これらも外国人によるものだろうか。

このまま白馬駅に向う。

白馬駅 到着

駅には15時頃に到着。さて今夜の寝床はどこにしよう。

良い場所があれば野宿したいのだが、人目に付く場所は避けたいし。。。

とりあえず駅に向かい、案内板でテントを張れそうな場所を探して少しウロウロする。しかし疲れもあるし面倒になったので下調べしておいたキャンプ場に向おう。

駅から少し南下したところにある「白馬グリーンスポーツの森」には16時過ぎに到着。

受付してテント設営代金2000円を支払う。

山の景色が良さそうな場所には既に何張りかファミリーテントがあったので、そこから離れた水場とトイレが近い林の中にテント設営。

施設はやや古い感じだが、広々として開放的なキャンプ場だ。

寝床の準備を終えてから自転車で買い出し。大通りにある「ザ・ビッグ」に行く。

白馬らしくアウトドア関係者(ガイド or ショップ店員)らしい人も見かける。また外国人観光客の姿も目立つ。

戻ってから敷地内のテーブルに座り、米を水につけて置き買ってきた焼豚を肴にビール。

米を炊きレトルトカレーをかける。暗くなり涼しくなってきたのでテント内で夕食。

日が落ちて雲が少なくなり、北アルプスの峰々がクッキリと見えるようになった。

プシュッ!

テント内での晩酌タイムは続く。

2025年5月20日 二日目

朝は5時半頃起床。外はすでに明るいが、まだ太陽は低くこの樹林帯の中に届く陽射しは優しい。

昨日の日中と違い雲がなく山々はクッキリと見える。

いい気持ち。

登山だったらとっくに行動しているであろう時間であると考えると少し気が急くような気もするが今日の行動時間を考えたら余裕がある。

さて今日はどうしようか。このまま松本に向うと時間が早すぎる。糸魚川方面に向かうことも考えたが新潟方面は雨予報。

雨を避けて松本方面に向うのは決まりとして、まずは少し北上して山々の景色を見てから南下することに決める。

テントを撤収して出発。

絶景は見られるか?

主要道路から何となく景色の良い方面にハンドルを切りペダルを漕ぐ。

すると遮るものがない場所に出た。おぉっ!山の稜線が一望だ。

昨日の展望は今一つだったが、今日は文句のない青空と景色。

水を張った田んぼと山の景色が目にしみる。

唐松、白馬鑓、白馬の稜線。どこがどの山なのかが今ひとつ良く分からないが素晴らしい眺め。

左手に景色を眺めながらゆっくり走る。

               撮影用に進行方向とは逆に向いて撮影。

八方ゴンドラに向かう交差点からは山を背にして坂を下る。

普通に走っている車の運転手に外国人を良く見かける。やはり観光客ではなく住んでいてビジネスしている人が多いのだろう。

                     振り返って見た景色

この通りはパタゴニアやスノーピークなど有名ブランドのショップや飲食店などお洒落な雰囲気の店が多い。

白馬駅前の交差点から国道148号線に出て南下を始める。この道路は広く走りやすい。

北アルプスと並行して走れるなんて最高のロケーションだ!

しばらく景色を楽しめたが手前の山で見えなくなった。

山沿いに入り、道は次第にゆるやかな上りになる。

松本まではもう下りばかりかと勝手に思い込んでいたが、地図を見ると青木湖に向かっては標高を上げるようだ。

後で知ったことだが白馬村が700m。青木湖が822mだそうだ。

青木湖 

青木湖に到着。

風もなく静かな湖面。SUPや釣りをしている人も見かけない。

湖を回り込むように進むと再び白い峰々が見える。

湖との組み合わせが美しい。

しかも湖に面したちょうどいい場所にカフェがあり外のデッキに客がいるのが見える。

駐車場には県外ナンバーの車が停まっている、ドライブしていい景色でお茶をするというのは誰しも好きなのだろう。

このあたり何人かサイクリストに遭遇した。レンタルらしいMTBの人もいればメチャ早いロードレーサーにも抜かれた。松本まで行くのだろうか。

青木湖から少し下るとまもなく木崎湖(標高764m)が現れた。

暑さに少しバテて来た頃に駅が現れたので覗いて見ると無人だったので休憩場所として日陰に利用させてもらう。無人で古そうだが綺麗な駅舎。

ホーム側の引き戸を開けると目の前には木崎湖。湖からの風が心地よかった。

ここからは長い下り。あまり漕がずに進む。

右に向かうと高瀬渓谷。

北アルプス裏銀座ルートのスタート地点であり、湯俣温泉への入り口だ。伊藤新道もできて最近登山者が増えているとのこと。

僕の今年行きたい場所の上位に上がっている場所だ。

雪代(ゆきしろ)で濁った高瀬川。

上流には秘湯、湯俣温泉。更にその先の槍ヶ岳に源を発しているんだろうなあ。

平らな道となり幹線道路ではつまらないので並行する県道306号で南下する。

安曇野アートラインという道らしい。道はやや狭いが田園地帯で気持ちよく交通量も少ない。

のどかな道を走り、信号待ちで水分補給していたらポツンと一見の蕎麦屋を発見。暑さと疲れでで少しバテていたし、時間もまもなく12時で空腹感もあった。

この先コンビニとかで済ませるのもつまらないのでここで一息いれよう。

店内は地元の農家さんらしき高齢者が6〜7人程。メニューはセットメニューなどもなくシンプル。地元向けでリーズナブルかと思いきやもりそばで900円。もうこれが標準なのだろう。

店内はこじんまりしていて2人の女性だけで切り盛りしている。良く締まっている蕎麦は美味い。つゆはカツオの風味が強くやや甘めで比較的好みの味。蕎麦の香りは少し物足りないのでつゆに負けてしまっている感じ。ここも漬け物にはタクアン。甘めの味がお茶受けに美味しい。

安曇野市に入る

再び走り出す。

ちひろ美術館からは安曇野スケッチロードという通りに入り安曇野市に。

次第に幹線道路の様相になり交通量が増える。

今日の寝場所はどうしようか。

色々と調べた所、波田リバーサイドパークに泊まることに。

予約電話を入れるとまずは総合運動公園という所で受付が必要との事でそこに向う。

松本市内に入り梓川を渡る。なかなか分かりづらくて到着したのが16時半。営業している?という雰囲気の施設に入ると受付だけ照明が灯っており人がいる。市の施設らしい無機質な感じの暗いロビーには運動してきた利用者らしき3人が談笑している。200(?!)払い日帰り入浴施設やスーパーの場所を聞いてキャンプ場に向う。少し前から雷鳴が轟いている。

急がねば。

砂利道を向かう途中に徐々雨脚が強くなり、キャンプ場所に着いたころには本降りに。急いで荷物を置き設営を始めるが、雨脚は強くなり本格的な夕立の様相。

今夜の寝床

急いでフライシートをかぶせて、荷物をテント内に放り込むがテントも荷物も随分と雨で濡れてしまった。

ところが雨は長続きせずに間もなく小降りになる。なんだよう。。

慌てて設営したから気が付かなかったが改めてグランドシートに手を当てて見ると下に突起物があったり、入り口の向きに不満があったのでペグを抜き荷物を出しテントを移動。中にシートを敷いたりマットを膨らませたりしてセッティングが終えてやっと一息。

水場とトイレしかないキャンプ場だが200円という金額を考えれば必要十分。

よし買い出しに向かおう。

周りに店がなく2.4キロ先のスーパーデリシアに向かうが少し遠かった。

テントに戻り買ってきたウインナーでビールを飲みつつご飯を炊いていたらストーブのガスが消えている。唖然となり火を使わないメニューも考えたが炊飯中の米があるのでやはりストーブでの調理が必要だ。仕方がない。ガスの調達に向かおう。

幸いホームセンターのコメリがあったが1本売りはなく仕方なく3本セットを購入。暗くなった道をヘッドライトを点灯してテントに戻る。

                    橋の欄干にはスイカ!松本といえばハイランド西瓜?!

改めてご飯を炊き直しイワシと梅干し、無印良品のサムゲタンをオカズにご飯を食べる。本を読んでいたが酒が進んだおかげで何度も睡魔に襲われ読み進まず。

時間も0時過ぎになったが全然寒くなく、シャツ一枚で充分だった。

2025年5月21日 三日目

5時前に起床。

昨夜食べきれなかったご飯に無印良品のフリーズドライ豚汁をかけて食べる。美味い。

コーヒーを飲みつつまったりしてから撤収。天気も良さそうだ。

6時半頃出発。

今日は松本駅までの10キロ程。主要道路を避けるために梓川を渡り住宅街、倉庫街を走る。

                     今度はリンゴ!さすが信州

マンホールには梓川とカジカ(?)

街に近づくにつれて通勤時も重なり交通量が増えてきた。

駅に着いたのは7時半過ぎ。

9:10の特急あずさに乗り込む。チケットを買う時に座席を選べるので端側の荷物スペースがある場所を選んだがうまくいった。

松本〜東京〜ひたち野うしくには13:31に到着。

さあ家に帰って道具の片付けしよっと。

30年来の景色を求めて走った今回のコース。肝心の峠からの景色は満足いくものではなかったが、翌日はすっきりと晴れて北アルプスの絶景を眺めながら走るという夢のようなツーリングになった。

若いあの時に憧れていた場所に、自分の脚で行くことが出来たということで20代の頃の気持ちが蘇って、行きたい場所が次々と思い浮かんでくる。

しかしその気持ちに反して上り坂で足が痙攣する回数が増えてきたが、その現実はまだ受け入れないでおこう。

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