大峯奥駆道 その3 5~6日

ロングトレイル

5/13(日) 大峯奥駈道5日目 八大金剛童子~玉置山展望台

夜中少し降っていたようだ。

テントのフライシートはビッショリ。

予報どおり、昨日までの天気と違い雲が多く、気温も低い。雨はまだほとんど降っていないが本降りになる前にに急いでテントの撤収を始める。

なるべくインナーテントを濡らさないように手早く片付けるが、風で木の上の露が雨のように降り注ぐ。

荷物がむき出しの今回のザック「カーゴ40」。

ザックカバーは持ってきておらず、絶対に濡らしたくないものは防水バッグに入れてある。それでも念入りに口部分をクルクルと巻き、更に口部分が直接雨があたらないようにザックの内側に入れた。

5:30頃 小雨の中出発。

昨日とは違い周りの景色は何も見えず。

雨で落ちたのかシロヤシオの花びらが綺麗。

小雨の中での山歩き。

晴れの日には見られない雰囲気を感じることができてまた良い。

小雨の中、急なアップダウンを繰り返し疲れてきたところに

7:30「笠捨山(1352M)」到着。

看板には「西行法師が吉野から逆峯の道中、この山から過ぎてきた山々に感謝、笠を捨てた」と書いてある。

※大峯奥駈道を熊野から吉野に向かうことを「順峯(じゅんぷ)」

反対に吉野から熊野へ向かう方法を「逆峯(ぎゃくふ)」という。

「あまりの淋しさに笠を捨てた」という説もあるらしいが、ここまで歩いてきた山々に感謝してという看板の言葉のほうが、今のボクの心境とも一致して納得。

鉄塔のある尾根にでる雨と風が強くなったのでレインのフードをしっかり締める。

ヤセ尾根になり、やがてクサリ場が現れた。

マップにも危険箇所とある「槍ヶ岳」「地蔵岳」。

急峻な岩場でクサリの連続。しかも岩やクサリが雨で濡れている為、より滑り易い。

「地蔵岳」山頂には小さなお地蔵様。ここまでは無事にこれた。

しかしここからの下りがほぼ垂直で長く危険なクサリ場。

より慎重に。

ここでもシャクナゲに癒される。

久しぶりに登山者に出会う。(南奥駈道に入ってからめっきり登山者に会わなくなった)。

地元の方でガイド登山の下見とのこと。

「第14行所  拝返し」

ここ大峯奥駈道は、熊野の1番から始まり吉野の75番まで番号のついた靡(なびき)と呼ばれる行場、行所(修行の場)があり今まで通ってきた寺社、山、岩場、森、窟、宿などにも番号がついていた。

75箇所全部がルート上にあるわけではないので全ての行場を通ってきたわけではないが、残りわずかになったものだ。

「香精山(こうしょうさん 1121M)

ここも「靡」のひとつ

この辺りは杉林。

だんだん雨が強くなってきた。

樹液が洗剤のように泡

だっている木がある(!?)。

これはなんでしょう?

「如意宝珠岳」「千眺之森」と靡が続く。

午後、やがて本降りに。。。

アディダスのシューズはさすがゴアテックス。しっかり雨を防いでいる。まだ足はドライな状態だ。

しかしゲイターをしていないのでいつまで持つか・・・

ますます雨が強くなってきて風も出てきた。

濡れないようにレインジャケットの内側に入れたサコッシュには地図や行動食を入れている。

しかし現在地を確認するために地図を広げるがあっという間にびしょ濡れ。行動食もいそいで食べないとぐしゃぐしゃになってしまう。

この状態では本日の目的地「玉置神社」の駐車場でテントを張るときもテントがビショビショになってしまうだろうな。。。

晴れていた昨日まではトカゲがたくさん見たが、雨の今日はかわいいカエルを発見。

舗装された林道に出た。

久しぶりに大峯奥駈道の看板がある。小さい屋根がついているので少しでも雨をさける為にその下で現在地を確認し、行動食を食べる。

すぐにまた樹林帯に入る。

別名ユウレイタケとも言われる「銀竜草 (ぎんりょうそう)」

低山の森林に生えていて高島トレイルでも見かけました。

何かアニメのキャラクターに似ていますね。

林道を出たり入ったりを繰り返すこと5,6回。

今回来る前に防水スプレーしたばかりのレインもぐっしょりと水を吸っているような状態になってきた。さすがのアディダスもローカットでスパッツをしなかったので、レインパンツの間から浸入してきて雨が靴下を濡らし始めた。

5日目の寝床 玉置山 展望台のあずまや

建物が見えた。

「玉置山 展望台」

屋根のあるあずまやがある。壁はないがここなら玉置神社の駐車場より雨をしのげるかもしれない。

屋根があるだけでも天国だ!ここにテントを張ろう!

強風の中、急いでテントを設営。

あずまやは2方向がまったく壁がなく、風でテント設営中にも雨がかなり吹き込んでしまいインナーテントが濡れてしまったが、なんとか設営完了。かなりの強風の為、ガイラインはしっかりテンションをかけ、ペグダウンして更に抜けないように近くにあった石で補強した。

濡れたインナーテント内は、吸水タオルで拭き、中にシートを二重に敷いたら何とか乾いた床ができた。

体が濡れて寒かったが、濡れたロンTの下にドライレイヤーを重ね着し、ダウンジャケット、濡れたパンツと靴下を脱ぎ乾いたアンダータイツと防水ソックスに履き替えてシュラフにもぐりこんだらなんとか温まってきた。

この場所はあずまやと展望台、トイレのみで水場はなかった。

トイレの手洗い用貯め水があったのでいざという時にはそれを浄水器で使ううこともできるが水は十分持っていたので大丈夫だ。

「持経宿」で目一杯汲んでおいてよかった。

最後の夕食。

クスクス+オーツ(カレー味)にサラミを加え、同量のお湯で煮込むとドライカレー風になった。インスタントのオニオンスープと一緒に食べる。

温かい食事は体だけでなく気持ちも温めてくれる。

外は強風、大雨が続いている。

テントがばたつき時々メッシュのインナーテント内に風が入ってくるが、標高が低いせいか寒さは感じない。

明日はついに熊野本宮神社だ。

本日の行動時間 約8時間

歩行距離は13.44キロ

5/14 (月)大峯奥駈道6日目 玉置山展望台~熊野本宮大社

雨は止み、風もやや弱くなっていた。

良かった~。

棒ラーメン+味噌+わかめ+サラミでしっかりと朝食。

屋根のある場所での撤収は楽チン。ありがとう

外が明るくなってくると昨日は全く見えなかった景色が広がっていた。さすが展望台と銘打っているだけあって素晴らしい景色だ。雲海も見れる。

朝日が顔を出した。すっきりと見える。今日の天気は大丈夫そうだ。

昨日進めなかった分を取り返すべく早く出発したかったが、景色などを撮影していたら遅れてしまった。

5:30出発

レインウェアなどは乾いたが靴はまだ濡れていたので防水ソックスを履く。これなら冷たく不快な思いをしない。去年購入したがなかなか便利。

歩き出してすぐに大きな石碑「世界遺産 大峯奥駈道」とある。

6時になるとすでに日差しが強くなってきた。

朝は気温が低かったが、すぐに暑くなってきた。

きれいな樹林帯を歩くと「玉置山(1076M)」

やっとここまで来た。

山頂にあった鐘を鳴らす。

玉置神社

急斜面を下ると間もなく玉置神社。

創建は紀元前(!)という歴史ある神社は国の重要文化財にもなっている。境内には樹齢3000年の御神木もあり荘厳な雰囲気が漂う。

まだ6:30なので他に参拝者は誰もおらず。静かな境内。    

シャクナゲが咲いていたが歩いてきた山の上と違い盛りは過ぎたようだ。

この先熊野本宮まで水場はなないのでここでたっぷり給水し、神社を後にする。

 

「本宮」への看板どおりに荒れた未舗装の道を進み、鳥居をくぐると舗装路に。

「熊野三山」の標識に従い未舗装の林道を歩く。

林業関係者の車両が停まっている場所から山道に入り急な斜面を歩いていく。

この辺りは林業の山のようだ。斜面にもたくさんの男達が作業している。

きつい斜面を登り終えると熊野三山のひとつ「大森山(1078M)」

不動明王像のある「五大尊岳(825M)」

見晴らしのある山頂から熊野川が見えた。

昨日の大雨でかなり濁っているがこの川が熊野神社につながって

いると思うと感動!

進むごとに標高を下げていくのだが、急な下りと急な登り返しの連続で足にくる。暑さも厳しい。夏だな~と思ったら聞こえたのか、セミも鳴き始めた。

玉置神社を超えたらあとは低山ばかりで楽チンかと思いきや、

意外とアップダウンがキツイ。

標高は「北奥駈」の方が高いがアップダウンの厳しさは「南奥駈」のほうがキツイ印象だ。

それにしても今日は暑い。

喉も渇いた。冷たいものが食べたい・・・

あっ!こんなところに白くてふわっふわなソフトクリームが・・・

ふうっ まさか幻覚が見えて(?)くるなんて・・・

三山最後の「大黒天神岳」の登りの前に休憩しよう。

行動食を食べサラミをかじり、味噌を舐めると元気が出た。

更にポカリスウェット粉末と水で喉を潤す。

急な登りで「大黒天神岳(573M)」

今までと違う南国のような植生になってきた印象だ。

また急な下りで高度を下げると熊野川がより近くなった。

更に進むと展望スペース。

きれいに刈り込まれた芝生上の場所に座れそうなベンチがあり、熊野川と周辺の街並みが一望できる。

あっ!旧社地(かつてはここに熊野本宮大社があった)、大斎原(おおゆのはら)の大鳥居が見える!

いよいよゴールは近い。

「七越の峰(262M)」 西行法師の歌碑があり、ここが最後の峰(ピーク)

本宮まで残り3キロ。

後は下りだけと思ったがこれが長い。意外と急なアップダウンを繰り返すのだ。

備崎経塚群(そなえざききょうづかぐん)という地味だけどとても貴重と思われる遺跡を過ぎると、ついに熊野川に出た。

本来はこの川を歩いて身も心も清めてから対岸の大斎原に渡るのが正しいやり方だそうです。

しかし・・・この水量、濁流では危険すぎる。

残念だが遠回りして橋を渡ります。

橋の上から見た水量と濁り具合。昨夜の雨量の多さがわかります。

5月とは思えない炎天下の中、アスファルト歩きは堪える。

しかし、

ゴール 熊野本宮大社

ついに到着!

やった~こんなに達成感のある登山は初めてだ。

まずは無事に到着したお礼参りをしに行く。

最後の石段登りで太ももとお尻がピクピクしてきたが

無事に吉野から熊野まで歩き通せたことに感謝のお参り。

それにしても創建2050年ってすごい歴史の場所ですね。

今回は今までの登山には無い楽しさ、感動を味わうことができました。

登山道として整備されてはいますが、元々が修行の道としてつくられただけであり険しく過酷。それでいて、古くから今に至るまでそこに関わってきた人々の痕跡や想いも感じられる道。

素晴らしい自然だけでなく文化、歴史など他の山域にはない雰囲気があり、是非また歩いてみたいと思わせる魅力あるルートでした。

早さに挑戦するのもいいですが、宿坊などに泊まってゆっくりというのもいいですね。

今度は熊野からの「順峯」も歩いてみよう。

本日の行動時間 約9時間

歩行距離は19.48キロ

合計101.78キロ

エピローグ

帰り際に境内のトイレにはいって用を足したらびっくり!

尿がワインのような色!?

まさか血尿?

いままで登山でも初めての経験。

それほど今回はハードな山歩きだったということか・・・

確かにボクにとってとても過酷な6日間でした。

この後、バスで新宮駅まで移動。さらにそこから名古屋駅まで長い長い電車の旅。

和歌山は遠い。。。

新宮市内のスーパーで購入した紀州名物のさば寿司と柑橘を、乗客のほぼ居ない車内でいただきながら、今回の旅の余韻に浸りました。

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