あまとみトレイル

ロングトレイル

今年初めてとれた4連休。本来ならばハイシーズンの7~9月に欲しかったけど、まあ仕方がない。

さあどこに行こう?

3泊4日ならばまずまずの縦走が出来る日数だが、大好きな北アなどは、雪の便りが続いておりちょっと厳しそう。ならばと色々と考えて、更に天気も考慮しながら色々と悩んでいると雑誌「TRAIL HEAD」の記事が目に入る。

「あまとみトレイル」  

令和3年10月23日に一部開通した、長野駅~戸隠~妙高・笹ヶ峰~野尻湖~斑尾山頂を結ぶ総延長86kmの歩いて楽しむロングトレイル
 
名称の「あまとみトレイル」は西の雨飾山あまかざりやまの「あ」、東の斑尾山まだらおやまの「ま」、南の戸隠山とがくしやまの「と」、北の妙高山みょうこうさんの「み」と、この地域を代表する山の頭文字をとって名付けられました。
更に今後は、斑尾山頂からお隣のロングトレイル「信越トレイル」(総延長110km)に接続を予定。信越トレイルとあまとみトレイルを合わせると200km近くのロングトレイル。  

                                    ~HPより参照

信越トレイルは僕の足では最低でも4泊5日は必要だが、「あまとみトレイル」なら頑張れば3泊4日で行けそうだ。天気も他エリアと比べると悪くなさそうだ。よし!ここに行こう。

2024/10/28 一日目

朝は自然と4時半過ぎに起床。窓の外は本降りの雨。

出発前のこの天気、行く気を削がれるなあ。行くべきか悩むが、こういう時は行かないと後悔する。行けばきっと良い想い出になる。そんな経験則を思い出し行くことに決める。

5:50つくば駅発のTXに乗車、おおたかの森、大宮から新幹線で長野駅には9:30に到着。

                        林修先生が出迎えてくれた。でかっ!

長野駅善光寺口。

外に出るとやはり雨。人もまばら。

ザックからエバニューの軽量傘を出して歩き出す。

一路、善光寺方面へ。

早速、風情ある標識。分かりやすい。

多くの土産物店や飲食店が立ち並ぶ参道が終わり、いよいよ善光寺境内。

右手には宿坊が並ぶ通り。

仁王門

山門

平日の雨の中、観光客、外国人が多い。

善光寺本堂

ここで少しお勉強。善光寺の解説。。。

善光寺は日本に仏教の宗派が生まれる以前に創建されたことから、宗派を問わない、珍しい性格のお寺。それは現在においても引き継がれ、宗派、男女の区別なく全国各地から参拝者が訪れるそうです。

そして善光寺の御本尊は日本最古で、絶対秘仏。誰も見たことがなく今後も見ることが出来ないもので7年に1度の御開帳のときは鎌倉時代に複製したものが公開しているということ。

前回は2020年でしたがコロナウイルスの感染拡大で延期になり2022年に開催。次回は2027年、その時期の観光客はどれ程なんだろう。

本堂から山門を振り返る。山門の上に多くの人が立っていたが何かの集まりかな?

「六地蔵」

ふむふむ。。。

看板の内容を要約すると

仏教の世界で「六道」というものがあり、我々が迷いの世界を輪廻する道程を六の世界に分けたもの。この六の世界に赴き、迷える人間の苦しみを救ってくださるのがこの地蔵菩薩。

右から地獄界・餓鬼界・畜生界・阿修羅界・人界・天界それぞれの世界に現れる菩薩様で、右の地獄界の菩薩様が片足を踏み出しているのは一刻も早く衆生を救おうという気持ちの顕れだとか。

本堂の西側出口からあまとみトレイルに向かう。

住宅街の中、結構な勾配のある登りが続く。はぁはぁ。。。

あまとみトレイルの看板は思ったより小さく数も少ない。ヤマレコでナビをしてないとすぐにルートを外れてしまう。

善光寺から30分程歩くだけでもうこんな里山のような雰囲気。古い街道の名残も見られる。

さすが長野、道端にリンゴ畑だらけ。

道は山あいに入り次第に狭くなる。

「瓜割清水」という水場に到着。瓜が割れるほど冷たいという。夏の暑い時にはまさに甘露だろう。 せっかくなので家から汲んできた水道水と入れ替えようっと。

さすが長野県、茨城県と比べて断然水が美味い(笑)

道沿いには戸隠参道の名残と思われる物が残されている。

こんな道歩きが大好きだ。

森の切れ間からは長野中心街の景色を見ることができる。

舗装路からシングルトラックの林道に入ったかと思うと、

また集落のある場所に出る。変化があり面白い。

ここで少し不安になる。長野市内をあるくのだからコンビニやスーパーくらいあるだろうと見越して食料をあまり用意していない。どうしよう。少し焦る。

そのうちに住宅街から農村地帯に入る。

やれやれ失敗したなあ。コンビニなどありそうもない雰囲気。

スーパーどころか個人商店も見当たらない。どうしよう!

幸いリンゴ畑はずっと続いている。作業している人がいたら声を掛けて売ってもらおう。

しかし人っ子一人見当たらない。

歩いているとリンゴ畑の脇にたくさんリンゴが落ちている。どれも潰れていたり腐っているようなものばかりだったが、一つだけ傷みが少ないリンゴを発見。これなら売り物にはならなそうだが食べられそう。雨で傷む前に大切に食べさせてもらうことにしよう。

さらに道端にあったイチジクも食べる。美味かった。

雨は弱くなったり強くなったりで断続的に続いている。

雲の切れ目から光も見え、13時頃には降り止む。

広い舗装路を歩いたと思ったら

また細い林道に入る。

更に森の中の未舗装路を歩く。なんだか熊が出そうな雰囲気。

時期(冬眠前)もそうだが、場所としても熊被害の多い地域なので熊鈴を出して鳴らしながら歩く。


林道を抜けて飯綱の別荘地のような所に出た。

本来のルートからは外れるがキャンプ場がある長野フォレストヴィレッジに向かう。

ルートからは30分車道を歩き、15時前には到着。

「長野フォレストヴィレッジ」に到着 

木材を多用したお洒落な建物だ。キャンプ場だけでなく各種アクティビティもできるらしい。

受付の女性から「長野駅からですか」と問われた。同じようにあまとみトレイルを歩く人が来るらしいということだった。説明を聞き1000円支払いサイトに向かう。

フリーサイトと言うことで少しウロウロした後、大座法師(だいざほうし)池近くの樹の下に設営。

テントはアライテント SLソロ。

まだ時間が早いのでキャンプ場内の施設などをみて回る。

何か食べ物が買えればと思ったが野菜や果物、冷凍食品など。併設のカフェのメニューには心惹かれたが今晩の食事は間に合っていたのでこれを選ばなくても良い。施設は新しく、木をふんだんに使用した自然に溶け込んだ建物。なかなか素敵な空間に仕上がっている。清潔感もありトイレもきれいだ。

テントに戻り空腹を感じたので拾った林檎をかじる。最近食べた林檎の中で断トツに美味かった。甘み、酸味、硬さ、みずみずしさどれも素晴らしかった。大きな林檎だったが夢中で完食。

コーヒーで一息。

夕食はパスタ。

夜は満天の星空。放射冷却の影響でかなり冷え込んだ。

2024/10/29 二日目

朝4時半起床。昨夜は眠りが浅かった。夜中にトイレに行った時には星も見えず濃霧。

気温も低く、断続的に吹き付ける風が一晩中テントを揺らしていた。

夜明け前の幻想的な大座法師池。

目の前が池という素晴らしいロケーション、なかなか素敵なキャンプ場だったな。リピート決定。

朝食を軽く済ませた後撤収。6時過ぎに出発。

昨日歩いてきた車道を戻る道すがら、ふと現れた「戸隠古道」の看板。

車道よりも魅力的なこの道に入る。

「右 とかくし?」 「左 うへのとち?」 

なんて書いてあるのだろう。

紅葉が綺麗な道。

クマ対策に鈴を鳴らしながらも気持ち良く歩く。

その後、道は車道と並行したり離れたりを繰り返し進む。

飯綱山の登山口を過ぎると大鳥居の跡地があった。

ここから参道が始まる。一丁ごとに石碑があり目標にしやすい。

画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: DSC_2863-1024x577.jpg

しばらく車道と並行して歩くが、朝早い割に交通量はそこそこ多い。戸隠への観光客だろうか。

一の鳥居建立跡地

古道から車道に出たら現れた茅葺屋根の大店「大久保茶屋」

後で知ったが歴史ある蕎麦の名店らしい。是非食べてみたい。

戸隠展望苑。

車道から脇に入り少し上がった所にある展望所。

ベンチがあったので小休憩。運よく戸隠連山が見えた。

夏の終わりには蕎麦の花が咲き乱れる撮影スポットらしい。

戸隠山は八方睨や蟻の塔渡りといった難所が控えた険しいルート。まだ登ったことはないが挑戦してみたい。

広々とした田園地帯から

ルートは次第に住宅街の中に。

戸隠神社参り

戸隠五社のひとつ「戸隠神社宝光社」

人も少なく静かな雰囲気。

本堂から中社まで行ける古道に入る。

黄葉した森の中を歩く。

住宅街に出たあと、調べておいた碓井商店に行くべく、ルートから外れる。

到着した商店は思った以上に小さく品は少なかったが色々と購入。ロールパン、プリッツ、カップ麺、古代米煎餅。店主は高齢だが元気。紅葉の具合や観光客の入りなどの世間話をして店を出る。

                                       ↑碓井商店

更に2、3軒隣にある酒屋に。地元の酒が多数置いてありこだわりの酒屋という印象。日本酒300ml、焼酎200ml購入。ザックがパンパンになってしまった。

車道をそのまま進むと、戸隠神社中社に着いた。

手前に有名な蕎麦屋「うずらや」があり覗いてみる。戸隠そばを食べたかったが10:30開店。充分に早い開店だが、現在10時。先を急ぐので待っている余裕がない。残念だが諦めよう。

そのまま進み戸隠神社宝光社に行く。登りの階段がキツイ。参拝して階段を戻らずに社を後にして中社に向かう。

中社は平日だが参拝者は多い。

参拝を済ませた後、向かって左に進むとそのまま奥社に向かう道に。

また古い石碑発見!「右 えちごみち」「左 ○く△×□ん?」 右は新潟方面なのだろうが、左はどこに向かうんだ?

古道を少し歩き舗装路に出ると、奥社参拝者の駐車場。車が多く平日とは思えない。観光客がこんなに多いとは思わなかった。

                       参道への入り口。

随神門に向かう道を歩く。平坦だが長い。随神門に到着。

ここからあまとみトレイルから外れて奥社に向かう。

観光客が多く除けながら進む。平坦路は良かったが登りになると足にくる。

無事に参拝を終える。

その後も続々と観光客が登って来る中、随神門まで戻る。

いや疲れた。かなり時間がかかった。随神門からは元来た道に戻らず東に進路をとり散策路に入る。

予想よりも長く歩いた後、戸隠キャンプ場に到着

戸隠連山を望めるロケーション。広大な敷地。開放感がハンパない。

こんなところでテントを張り一日ボーっとしたら気持ちよさそう~。

フラットな林道を歩き戸隠キャンプ場に出る。広い。山を目前にした素晴らしいロケーション。しかも山が紅葉している。設営している人は数えるほど。薪をバトニングしている音が響く。空いているし目の前の景色の雄大さの中のキャンプは気持ちよさそう。

キャンプ場でトイレを借り、隣接している戸隠牧場の敷地を歩く。

牧場といっても牛の姿は見えない。

牧場の雄大な景色と左手の紅葉した戸隠連峰に囲まれ視界には人も牛も見当たらない。気持ちが落ち着く。

牛どころか人の姿も見えない。休業中なのかな?

ルートを間違えて遠回りしたあと、牧場沿いの脇道に入る。

戸隠連山の最高峰、高妻山(標高2353m)への登山道には向かわず、

牧場をぐるり。気持ちのいい牧草地歩き。こんなトレイル歩いたことがない。

綺麗な川にかかる丸太橋を渡ると、まもなく牧場エリアは終了。

牧場の柵に沿ってしばし歩く。牧場とはいえここまで牛1頭、人も見かけない。この時期は放牧しないのだろうか。牧場から離れ林道を経由して舗装路を歩く。黒姫山に向う登山口からまたトレイルに。

一旦林道から出て車道歩き。

黒姫山を写した古池に出る。

ここらか大ダルミまでは急登が続く。しかもぬかるんでおり、歩きづらく靴の濡れと水漏れか気になる。まだ4時だが次第に薄暗くなりだしてきた。更に登り西登山口ではバテバテ。もう暗く熊出没の恐怖があったので熊鈴、笛を鳴らしまくる。

林道に出て少し安堵するものの、暗い林道も熊出没の恐怖あり。雨も降り出しポンチョをかぶる。実際に大型動物がヤブをなぎ倒してその場を離れるような音に2回遭遇した。

もう真っ暗。ヘッドライトがないと見えなくなってきた。

今晩の寝床は・・・

17:45にようやく氷沢避難小屋に到着。

本来、ここは宿泊目的として使うことは禁止されているが、この時期は道中のキャンプ場がいずれも閉鎖されているので仕方なく使わせてもらうことに。

疲れた。。。やれやれ、まずは一安心。

情報通りキレイ。少し期待した薪ストーブは緊急時以外はだめとのこと。やっぱり。

さてと、荷物を置こうとして床の上を照らすと、一面に黒い粒・・・

ウェ~!よく見ると全てカメムシ。備え付けの箒があったので掃いて下に落とす。

荷物を置き寝床の準備をしようとすると、掃いたはずの床にまたカメムシが。。。

よく見ると、壁や天井などあらゆるところにウヨウヨ。そこから落ちてきているのだ。

どうしよう。とはいえここで寝るしかない。

まずは天井と壁にいるのを下に箒で落としてから掃いて下に落とす。

トイレは一旦外に出て階段降りたところにある一階にある。ここもカメムシだらけ。しかし水洗でペーパーもある。蛇口の水は飲用可能と思われる。普通に美味い水だ。

米を炊きレトルトカレーとランチョンミート。米はやや芯があり水気が多かったことから炊き時間が足りなかったか。

カメムシは大分片付いたが、食事をしている近くをポコポコ歩いていたり、食器を持つ手の上を歩いていたりして驚く。しかし大分慣れてきている自分がいてこれにまた驚く。

戸隠の酒屋で買った日本酒は美味しい。グイグイイケる。毛布が用意されていたので1枚借りて足元寝袋にかけて寝たら暖かく快適に眠れた。

夕方からの雨は夜中に本降りに。

安堵感の中で飲む酒は格別。。。

2024/10/30 三日目

3時半頃起床。

初日は脚の痛み、つり、痙攣に苦しんだが昨夜は36キロ歩いたが大丈夫だった。体が歩くことに順応してきたのだろう。

             朝食はカップの札幌一番みそラーメンに昨夜のランチョンミートをのせて。美味くて温まる。

撤収(テントは無しなので楽ちん)作業をして、下痢気味で2回ほどトイレにいったりしていたら出発時間が6時になってしまった。

昨日は時間を見誤り遅くなってしまったので早目に出発するつもりだったがほぼ同じ時間になってしまった。

おかげて明るくなり小屋の全体像が見えた。昨夜は暗くて良く見えなかったが森の雰囲気に合うお洒落でかわいい建物。

ありがとう。一晩お世話になりました。

小雨のなかポンチョをかぶり歩き出す。森のなか歩くので熊鈴を鳴らす。

かつての製材所跡。

80年ほど前には100人以上がここで働き、生活を営んでいたらしい。

平坦で歩きやすい道は、木材運搬の為の道やトロッコの軌道跡だかららしい。

かつて森の中で生活していた人達の集落跡やトロッコ軌道跡を生かしたトレイルなどでアップダウン少なく歩きやすい道。

道から外れたところにあったハルニレの大木。

樹齢はわからないが、この木も80年前の製材所で働く人達の姿を見てきたのだろう。

雨は降ったりやんだり。

トレイル随一の展望との六美展望台はガスガスで何も見えず。

                              ここから妙高山の絶景がみえるらしい。

ものすごい急角度で変形したブナの木。雪の重さでこうなったのか?

夢見平湿地。

春には水芭蕉の群生を見ることが出来るらしい。

夫婦泉で給水。

夏に飲む天然水はまた格別だろうな。

夢見平のご神木。画像ではわかりにくいが幹回りは5mくらいありそう。

少し霧が晴れて明るくなってきた。紅葉が素晴らしい。

この辺りそこかしこに「木材チップ」が置いてあり、撒く事や運ぶ事を促しているようだ。

森を抜けると乙見湖のダムが現れた。急に視界が開けて気持ちいい開放感。

この子は誰でしょう?歴史好きの人はすぐに分かりそう。

ダム湖周辺は多くの工事関係者が作業している。

その側を歩いて乙見湖休憩舎に到着。ここで休憩。トイレを借り、ベンチで行動食と水分を補給。

乙見湖休憩所でトイレ、休憩をする。キノコ汁の幟はあったが誰もいなかった。

紅葉の舗装路を歩く。

すぐに自然歩道に入る。

清水ヶ池。

笹ヶ峰牧場の脇を歩き「宇棚の清水」を見る。

豊富な水量が湧き出ていて、ここは水に恵まれた豊かな森だな。

高原のような気持のよい道。

この辺り一帯は笹ヶ峰高原といわれ、牧場やキャンプ場もある避暑地。

当初ここのキャンプ場で泊まることも考えたが、この時期はクローズということで昨夜の避難小屋泊にしたのだ。

広い牧場に大きく立派な建物。ここが笹ヶ峰グリーンハウス。

近よるとステーキやとんかつの幟、少し期待したが2階の入り口には本日休業の文字。トイレだけ借りる。

広々とした敷地、目の前には紅葉した山。

レストランの敷地から舗装路に出る。正面の山は方角では妙高山だろうか。

雄大な景色の中を歩き敷地を出て車道を歩く。まもなく林道に入りドイツトウヒの森。

かつて、この地にドイツトウヒの木を植えた先人がいるのだな。

でっかい松ぼっくりがごろんごろん落ちている。しかもデカい。

「見てみて!う○こみたい!」と誰かと共有したい!

              ドイツトウヒの松ぼっくりは日本の松とは段違いにデカい。

笹ヶ峰を後にして舗装路を歩くと「中部北陸自然歩道」の看板が現れる。

ここから長い下り。

下にある発電所が管理しているケーブルカーの軌道を何度か横切る。

急な坂を下り終える発電所の建物。川に降りると吊り橋が現れた。

ここが関川吊り橋。この金属製のメッシュ板が11月上旬にはその板を取りはずしされてしまう。

だからあまとみトレイルは11月上旬までなんだ。

                                     川の水、冷たそう~

ここから急な登り返し、このトレイル一番の激坂かも。

キツイので自然と下を向いて歩いていると、足元に落ち葉に混じり実のついた房が落ちている事に気がつく。

もしかして山ぶどう?

試しに口に含むとぶどうの酸味が口の中に広がる。市販のぶどうのような甘みは極めて少なく種ばかりで食べるというより果汁を吸うといった食べ方しかできないが、香りと酸味が心地よい。

空腹だったので、その後も落ちている房を何度も拾い食べ続けた。

登りきり開けた場所に出た。整地されたスキー場のゲレンデのような場所。脇には道沿いに鉄塔や電線が立ち並んでいる。保守用の道なのかもしれない。

青空も少し出てきて、気温も上昇。やや暑くなってきた。

起伏のなだらかな草原状の道から砂利道に変わる。

ここで休憩。ロールパンをかじる。

林道から登山道に。

鉄塔沿いの道は急な下り坂。ここがキツかった。

かなりの急斜面な上にぬかるんだ道。粘土質で石も草もない為、足元が固定できずかなり慎重に下っても滑ってしまう。何度も尻もちや手をついて泥だらけ。

鉄塔沿いの道をしばらく歩くとなだらかになり樹林帯に入る。

下り基調の道を歩いていくと晴れていれば見晴らしの良いだろう場所に。

しかし残念ながらガスっており視界は真っ白。晴れていれば正面には斑尾山も望めるらしい。

一瞬、ガスが切れて見えた街並みは、これから向かう杉野沢だろうか。

ひとしきり下ると開けていて歩きやすい道になる。          

圧巻の名瀑

主要道から左手の狭い道に入り、狭く急な岩場の下り坂を進むと、水の砕ける音が聞こえて次第に大きくなる。

苗名滝に到着。

日本の滝100選に選ばれた落差55mの壮大な滝。

白く太く力強い流れと轟音が圧巻。周りの景色も素晴らしく、また両岸の岩が独特で柱状節理のような岩肌、しかも黒々としており滝のを迫力を際立たせている。

時間があればもう少し眺めていたい景色だが時間と雨に追われて滝を後にする。

滝から遊歩道沿いに歩く。有名な観光地らしく普段着姿の人もちらほら見かけた。

駐車場に着くと観光客目当ての店も数軒ある。

このころには雨足が強くなりポンチョをかぶる。

ここから車道歩き。杉野沢に入る。

集落に入るがとても静か。家々はあるが人気が感じられない。

腹が減った。気温も下がり、雨で濡れて肌寒い。何かを暖かいものが食べたい。

ようやく営業していない何かの商店(廃業!?)前で自販機を発見。

かじかむ手で小銭を投入してホットコーヒーのボタンを押す。

いつもはブラックだが、寒く疲れた体は甘く温かいミルク砂糖入りコーヒーを求めていた。

一口一口が体に染みわたるかのような旨さ。そして満足感が全身に広がる。一気に飲み干す。

更に進むと初めて営業している商店を発見。

お菓子、日用品あけぼの屋

とある。中に入るとこじんまりした店内にパン、お菓子、日用品などか綺麗に並べられていた。清潔感のある店内は50代くらいの雪国らしい肌の綺麗な女性が店番していた。

リッツのチーズサンドを購入。女性は「もしかして長野駅から歩いて来られたの?」。その通りだと答えると「すごいわね。尊敬しちゃう」と言われた。

その店はルートからは少しはずれた場所だったが、あまとみトレイルを歩く人もくるらしい。

本来のルートに戻り、次の目的地「いもり池」に向う。主要道から脇道に入り更に進む。

開けたと思ったら、水田に囲まれた農道に出る。米どころらしい景色が広がる

農道の中を歩いたと思ったら森の中に入る。急に山の中に入ったような狭く薄暗い道を進む。

雨足が強くなってきたのでポンチョに加えて傘を出す。

なるほど自然歩道なんだね。

しばらく歩くと妙高高原ビジターセンターに出た。

木材を多用した建物は平屋で中には暖炉があり、囲むようにテーブル席がある、カフェも併設されていてお茶や軽食も取れるようだ。

前面の窓は大きなガラス張りで目の前のデッキ越しにいもり池を望むことが出来る。

この暖かい部屋で椅子に座り温かい飲み物と軽食でも食べたいところだが、時間的余裕がない。

ビジターセンターを出ると風が強く、冷たい雨がポンチョの上から体を冷やす。

冷たいな~ 疲れたな~ 腹減ったな~

当初予定していた近くの中華屋はもう閉店時間だろうし寄り道する時間もなさそうだ。朝早く出発すれば良かった。

朝からお腹の調子が良くなかったが、雨風で冷えたのかまたトイレに行きたくなってきた。

ビジターセンターで行っておけば良かった。

広い道から細い杣道に入るところにあまとみトレイルの標識があり、熊による被害があったので迂回するようにての案内。しかし迂回路はかなりの遠回り。

早くトイレに行きたかったので熊鈴を鳴らしてそのまま進む。

上信越自動車道の上を渡る。

高速道路を跨ぐ橋を渡ると民家が現れた。どこかに公衆トイレでもないかな~。そろそろヤバい。。。

関川の関所に到着。

長野と新潟の県境で、江戸時代において重要な役割を果たした関所として碓氷関所と並び称されているとのこと。

トイレがあることを期待したが、有料の施設内の為に諦めて(ガマンして)先に進む。

門をくぐり復元した木製の橋を渡る。

車道に出て右側に橋があり新潟の標識、

画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: DSC_3114-1024x577.jpg

左側には線路の高架があり長野の標識。線路付近にもトイレは無さそう。

高架をくぐり車道から林道に入る。あまとみトレイルの標識がある。

ここには英語で熊出没注意の案内があり、熊よけの為の鐘がある。鐘を打ち鳴らし鈴を振って歩く。

道は狭くなり山道のような道だがすぐ脇には高速道路も近くに走っている。ソーラーパネルの脇を過ぎると車道に出た。

どこに泊まろうか?

しばらく歩くと民家が現れた。野球などが出来そうなグラウンドもあり、手前に公衆便所を発見。

早速駆け込む。冷えたからか下痢状態。

外はすでに薄暗い。疲れたしここでテントを張ろうかなと辺りを見渡す。

トイレもあるし、平らなグラウンドは設営しやすそうだ。あとは民家から視界を遮れるような壁があればと思い、見渡してみたが無かった。

地図を見て少し悩んだが、野尻湖に行けば湖沿いにいい場所があるだろう。

よし先に進むか。決断してヘッドライトを装着、薄暗い道を歩き出す。

しかしここからが長かった。

点在するする家々の間を歩く。明かりが灯った家の中は暖かそう。脇道に入り農道を歩き、しばらくして林道に入る。真っ暗な中の林道は嫌だなと思う。

やがて用水路の脇道に出る。真っ暗な中いつまで続くんだ~という程歩くと、ようやく家々が現れた。民家が現れるとホッとする。しかし商店らしきものは全くない。

Googleで見当をつけていたコンビニに向う。

ようやくセブンイレブン発見。何だか久しぶりにコンビニを見た。

                              嬉しくて欲望のまま色々と買い込む。

食料を買い込んだら寝床探し。ここからがまた長い。高低差のある道を、疲れた体を引きずるように前に進める。

湖に近づいたようで水辺の雰囲気を風と空気で感じる。

見当をつけていた水生公園に向うが、う~ん、設営できそうではない雰囲気。

再びGoogleで探して違う公園に向う。

近くに違う公園を発見。様子を見る。

水場やトイレがないのは残念だが壁のあるあずまやがあった。

壁を背にして湖を正面にテント設営。

テント内に寝床も作り、一安心したら19時過ぎ、夕食の支度にかかる。

もつ煮、ウィンナ、イワシ缶パスタ、塩むすび、日本酒、焼酎で堪能。

お腹いっぱい。セブンイレブンで買い込みすぎた。

ここ「緑・水・風の空間」はトイレ、水場がないので歩いて5~10分程のところにある「水戸口公園」を利用させてもらった。

水戸口公園はなかなかキレイな公園。ナウマンゾウのオブジェあり。

しかしキレイで明るくてテント設営したら人目に付きそう。

2024/10/31 四日目 

3時半起床。

今日は最終日、そして急いでいる。

なぜならゴール地点の斑尾高原から飯山駅へバス便が少なく、なるべく早い便に乗りたいのだ。

明日から仕事だし・・・

なんだかんだで4時半頃出発。

寒い。。。湖の近くだし標高も高いので気温が低い。体感では5℃前後だろうか。 

手袋をしていても指先が冷たく、中綿ジャケットを着ていても寒い。鼻水をすすりながら早歩き。

湖畔沿いのマリンスポーツのお店や別荘らしい建物が立ち並ぶ通りは街灯もほとんどなく真っ暗。舗装路をしばらく歩くうちにルートは遊歩道「象の小径(こみち)」に入る。

暗いし嫌だな、そのまま舗装路を進もうかなと思ったが湖の景色を期待して入る。

景色は暗くて何も見えないが、アップダウン少なく快適だ。ヘッドランプの灯りを頼りにザクザクと歩く。

場所が場所だけに熊との遭遇を危惧したが、こんな湖沿いには熊はいないだろうと勝手に判断。

しかしイノシシくらいはいるかも。。。 一応鈴を取り出して鳴らしながら歩く。

ヘッドランプの灯りに神経を集中して歩いていると現れた黒い影! ドキッ!!!

野尻湖といえばナウマンゾウという事で、こんなオブジェが・・・

とはいえこんな暗がりで出てきたらビックリするわ!

                         また出た!

野尻湖

しばらく歩くとようやく細い車道に合流。

別荘らしい建物がある。優しい灯りに照らされた広い敷地、煙突がある瀟洒な建物。中は暖かい薪ストーブがあるんだろうな。こんな暮らし憧れる。

やがて明るくなり湖も見える。近くの山も望める。

靄のかかった青い湖面と、赤く染まり始めた山肌が何とも美しい。

車道は保養所や宿泊施設などが立ち並ぶ道から離れ、麓に向かって下る。

民家や田畑が現れた。人々の生活圏に入ると何となくホッとする。

日の出時間は過ぎたが全体が霧がかった田園風景の中進む。

全体的に靄がかかって何とも幻想的な風景。

人気のない朝の車道をひたすら歩く。この静寂とひんやりした空気が気持ちいい。

バス停にもナウマンゾウ!

日が高くなり気温も上昇したからか、靄が一段と濃くなってきた。

時々、脇を走り去る車や、犬の散歩をしている人も見かけるようになる。

長い車道歩きに疲労感を感じた頃、ようやく斑尾山方面への案内板を発見。左に曲がる。

緩い登りの細い林道を歩くと、えっ!行き止まり?!

近寄ると獣害よけの電線で「危険」とある。この先進めないのか?

迂回路を探したが見つからずあきらめて戻ろうと頭がよぎったが、

案内をよく見ると、山に入る方向けにゲートの開け方が記載されていた。

電線に触れて感電しないよう慎重に。。。

ゲートを越えて先を進む。

細い林道のような道、その後は何度か車道とトレイルが交互に現れる。

樹林帯を抜けると山頂直下には岩場歩きも出てきた。ようやく登山らしい登り。


大明神岳(1360m)に到着。山頂からの景色は素晴らしい。野尻湖、周囲の山々も望める。

景色を見ながら休憩してから斑尾山に向う。

斑尾山に到着。

初めて見た「信越トレイル」の標識。しかも「①-1」とある。

ここは信越トレイルのスタート地点でもあるのか!

斑尾山からは湖は見えなかったが、広く雲海が広がっているのが見える。

あまとみトレイルの標識があり「おつかれさま」との手書きがあった。

なにかうれしいな。いや~やっと終わった。さあ下山だ。

時刻は9:45。斑尾高原ホテル発飯山駅着のコミュニティバスが確か10:35だ。

これを逃すと次は13時台になる。ぜひともこれに乗りたい。よし急げ!

最初は早歩きだったが、ホテルまでは予想以上に遠いことに気が付き次第に足が早まる。

スキー場の開けた芝生状のゲレンデに出てからはほぼトレラン状態。4日間の疲れも忘れてダウンヒル。絶景が広がっているが景色を眺める余裕はない。

ヒイヒイいながら到着。時刻は10:32。よし間に合ったぞ! ん?!

バス案内を見てがっかり。

コミュニティバスは9:36だった。僕は何を勘違いしたのだ・・・

次のバスは13:21。あと3時間ある…

周りになにもない。キレイなトイレで顔を洗い、近くの別荘地などを散策。いや~
いい天気だな。

手持無沙汰にウロウロしていたら近くに森がありその散策路があるようだ。

その入り口付近に丸太があったので寝転ぶ。暖かくて気持ちいい。

ウトウトしていたらバスが来た。乗っている人は誰もおらず(飯山駅まで貸し切りだった)。

途中のバス停も誰も乗ることもなく、もちろん降りる人もおらずノンストップで走る。

山あいの急なカーブを何度もこなしながら、次第に標高を下げて市街地に入る。

飯山駅には13:50に到着。ほぼ隣接している長野の地場スーパーツルヤで食料を買い込み、新幹線に乗車。

「あまとみトレイル」

歩いてみた印象としては、メディアなどでの紹介どおりロングトレイルの中では初心者向けと言えると思う。

急な登り下りも少なく、登山パートにおいても危険個所もない。舗装路や住宅街を歩くことも多く、何かあっても安心だ。

とはいえ総距離86km(今回僕のヤマレコでは114kmだった)の距離を通して歩くのはなかなか大変で僕は今回4日間で歩いたが、もう少し暖かい時期に余裕ある日程ならばもっとのんびり歩けただろう。さらに宿泊施設を利用して荷物を軽量化できれば体への負担も少なく、善光寺や戸隠、野尻湖などの観光地巡りも楽しめただろうと思う。

「あまとみトレイル」は今後、海に向かって糸魚川方面への延伸も予定されているらしい。

そうなれば更に魅力が増すことだろう。是非また歩いてみたいと思うが、それには4日間の休みじゃあ足りないだろうな。

もっっっ~と長~い休みが欲し~~い!!

おまけ

今回の装備品概要

●住関連

テント SLソロ

NIMO マット

SOL エマージェンシーシート

寝袋 ナンガオーロラライト450(防寒着を着用して寒さはギリギリ大丈夫)

※最低気温はテント内で7℃くらい


●衣関連

パタCAP3 L/S

パタ パフベスト

TNF アルパインパンツ


防寒着 ファイントラック ウォームL/S

   パタ マイクロパフフーディ

   パタ CAP3タイツ(就寝時)

   靴下 ダーンタフ(就寝時)

●食関連

 クッカー PRIMUS

 ストーブ    EPI REVO  ガス(110)

 ナルゲン500ml、EVERNEW(1000ml)

●他

バックパック バーグハウス(フレーム抜き)

ヘッドランプ 2個 マイルストーン、レッドレンザー

モバイルバッテリー ANKER 15000mA

●食事

パスタ200グラム ソース(ミートソース)

マルちゃん正麺味噌

米1合 ランチョンミート レトルトカレー

イワシ缶


 行動食

あじまん、月餅、シリアル(フルグラ、マイグラ)、飴、一口羊羹、ピーナッツバターサンド


 購入品

 バターロール カップ麺、古代米煎餅

 プリッツ もつ煮 ソーセージ おにぎり

 酒類(日本酒、焼酎)

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